優先順位をつけるのが苦手なあなたへ

何を優先したらいいのか迷ったら

優先順位の判断力を養うのに役立つ多重課題研修

多重課題研修を例に考察

多重課題研修を例に考察多重課題研修とは同時にナースコールがあった場合など、複数人を見なくてはならない状況で優先順位を判断して行動できるようになるための研修です。この研修は優先順位を考えて行動するために役立ちます。

多重課題研修の例

朝の6時にラウンドを開始してすぐにナースコールがあり、患者Aさんからトイレに連れていくことを要求されたとします。そしてトイレに連れていくことを考えて患者Aさんの車椅子を準備している最中に同じ部屋の別の患者さん2人からコールがあります。この2人の患者BさんとCさんの要求はそれぞれ「冷たい水をください」という要求と「おしっこで服が汚れたので変えてください」という要求です。このように3つの要求が同時に重なっている状態からさらに別の部屋で患者Dさんから離床センサーのナースコールがあったとします。
これらの4つの患者さんの状況を説明します。患者Aさんは杖か車椅子での移動で認知症ありです。患者Bさんは意思疎通は問題なく行え、状況を伝えると理解を示してくれます。患者Cさんはほぼ寝たきりの状態ですが意思疎通はおおよそできます。そして最後の患者Dさんは1日排尿回数20回以上の方で、床上排泄です。

実際に対応してみる

例題の解決パターンとしては、転倒リスクが比較的高い2名が別々の部屋でナースコールがなっているという状況から、患者さんのリスクを考えて1人で対応することが危険と判断します。そこから別部屋で対応となる患者A〜Cさんと患者Dさんを分けて考えて、患者Dさんを別の看護師さんに依頼します。
これで自分が対応すべきは同じ部屋にいる患者Aさん、Bさん、Cさんとなります。1つの部屋の患者達であるため比較的効率的に行えるはずです。そしてここから優先順位を決めますが、患者Cさん、患者Bさん、患者Aさんの順で対応することにします。
これは患者Cさんは排泄欲求という強い欲求があるため時間の猶予がないと判断できるためです。そして車椅子でトイレに連れていくことから数分ですぐにナースコールが来るためです。この数分間でできることは患者Bさんの水を汲んであげることしかできないため、患者Aさんの対応が中途半端になり不快な思いをさせないように考えています。
このように優先順位の付け方として、リスクを考えたり、対応している合間にできることを考えたり、患者さんの欲求や症状をよく理解して優先順位を決める必要があります。今回では病状の変化を対応する例ではありませんが、病状が変化することがあればまた優先順位も考え直す必要があります。